無知と無理解の悲劇  -Ignorance and lack of understanding The Tragedy of

目が覚めた時

その空間にいることができないという

不穏な初めての感覚に襲われた あの子

どうしてもいられなくて 外へ飛び出した

こんがらがった頭と一緒に そこから逃げた

同居している人は その子の異変に気がつかなかった

何の不思議さも感じず

何も思わず

いつものように 電車に乗ったのだろう

ぐちゃぐちゃに絡まり合う心

考えたくても 病気が邪魔をする

もはや、あの子の身体には魂も心も何もなかった

からっぽで遠のく景色

そこに存在するだけの物体と化していた

生気や意識などない

フラッ

踏切に吸い寄せられて 散った

あの子は 無知と無理解に追い込まれていた

そして、それらに殺された