太陽は沈んだ  -The sun has set

窓ごし布団の中から 見る空

淡い茜色から白菫色へ

そこから夜の入り口が 吸い込むように見ている

灰色の雲が ぽつんぽつんと浮かぶ

航空機が 空を駆け抜けていく

ベランダに吊るし忘れた洗濯バサミが

時折 風にチラチラ動いている

太陽は沈んだ

生きることに 何十年もしがみついてきた

そこから絶え間なく流れていた 朱殷がつたう身体

もう離していいんだよ 

よくここまで全うした 私が知ってるからそれでいい

地平線の端に引っ張られ 遠く消える茜色は 鉄紺へ

窓の外は漆黒の闇に変わる

あの宇宙に包まれたいと 

叶わぬ想いを抱き絶命に向かう

亡骸ひとつ 塵となる