砂のようになったあの人  -A man who has become like sand

突然 逝ってしまった 

いつも人のことを心配している優しい人だった

踏み切りの中から 出られなくなった小さな子を

守り抱きしめて亡くなった

最後の最期まで、あなたらしかった

ぽっかり空いた穴を 

どうしても埋めることができないでいる

笑うと三日月になる目

あなたの陽だまりのような面影が 脳裏から離れない

あぁ、自分がこんな状態では 

私達を放っておけなくて 旅立てなくなってしまうね

ごめんね

よく晴れた天色の空の日

一緒によく来た海へ足を運ぶ 

手のひらに愛おしみくるんでいる 

砂のようになったあの人に頬を寄せ 瞼をじっと閉じ

静かにあなたと心を通わせる

あなたが望んだ 

広い海へ 広い空へ 

今 

きっとまた会おうね 約束だよ

あのね あのね 大好きだよ!

手のひらからオーガンジーのような風に さらさら 

眩しすぎる宇宙に向かっていく